エリア88の評価・考察・紹介


エリア88新谷かおるさんの名作、エリア88です。主人公は中東の激戦区で戦う、日本人の傭兵パイロット。毎日日本に帰れる日を夢見て、地獄の戦場で人を殺し続けます。親友と思っていた男に裏切られ、不本意で戦場に送り込まれた男は、復讐と生存を願い大空を飛びます。

最初の戦場は中東ですが、アフリカ等の各地で戦います。戦争も単純な武力衝突ではありません。政治、宗教、経済、歴史、複雑な因果関係の果てに戦争があります。最初は単純な戦争ロマンだと思った作品でしたが、どんどん規模が大きくなって物語が展開します。色々なところで人間関係が交錯し、大きな物語に発展していきます。

単純な戦闘機乗りの話ではなく、男が戦うとはどういうことなのかがテーマになっています。どんな地獄でも、男がそこに立てば、何かのために闘わなければいけないのです。それが国家の為でも、愛する人の為でも、戦友の為でも、金の為でも、男は命を懸けて戦わなければいけないのです。

また、反対に復讐や増悪が戦争の根源ではないことを教えてくれる作品です。戦争考察にはあまりおススメできる作品とは言い難いですが、名作です。

登場人物たちが乗っている戦闘機がまたかっこいいのです。A-10、C2クフィール、F-14、F-21など、この作品を読んで戦闘機のことを知ったというファンも多いはずです。軍事評論家の岡部いさくさんが、色々解説していました。私が好きなキャラは、何かと登場回数が多いフーバーさん。

アフリカ篇で、マップが今わの際に放った言葉が名言です。「アフリカは嫌だ・・・。どこまで行っても血の匂いがする。」