今回はカリオストロの城についての私見を少し書いてみようと思います。
不朽の名作・・・と、何かの作品を評する時によく使います。カリオストロの城はまさに不朽の名作と言っていい作品だと考えています。個人的には、カリオストロも観賞したことがない奴がオタクを名乗るな!と、そんな考えまで持っている管理人です。
公開は1979年、今から30年も前の作品なのですね。セルアニメは動く動く。これから、この作品を超えるアニメを作ることが出来るのでしょうか?
監督は宮崎駿さん。宮崎さんらしい温かいルパンを表現した作品になっています。よくいい人おじさんのルパンはどうなの?と、疑問符をつける方々もいます。
原作ルパンは、もっとハードボイルドでダークヒーローの面が強いという意見が、原作信者の方々から強いようですね。しかし、そのような意見を抜きにしても、非常に面白い作品だと思っています。
それに、ルパンが、最後に時計塔の上でカリオストロ伯爵に向かって、お前を殺す!と明言しています。正面から他人に、真剣に言い放つその言葉にルパン三世のダーティーさを見ることもできます。意外と他の作品ではこのような場面を見ることは出来ません。
しっかりとルパンらしさを残した作品ではないでしょうか。
それに、ルパンと言えば銭形です。銭形、正義の矜持は?警官としての正義はいずこに?銭形さんの見せ場がたくさんあります。格好よく有能な銭形もいいものです。原作者のモンキーパンチさんは、宮崎さんの解釈(銭形像)が一番正しいと話しているそうですね。
カーチェイス、城への侵入、悪役との戦い。ルパンならではの場面が面白いですね。個人的には、次元や五右衛門の活躍が少なかったように感じます。もう少し戦闘場面を増やしてもいいような感はありました。
カリオストロはストーリーの構成、音楽、視聴側のテンションの起伏、どれをとっても素晴らしい作品です。
最後に宮崎さんとカリオストロの城という作品について書いてみます。
カリオストロの名シーンと言えば、最後の銭形の言葉です。「いいえ、ルパンはとんでもないものを盗んでいきました。・・・あなたの心です。」、アニメ史上最高の名台詞でしょう。
しかし、私が最近再認識したのがそのあとのシーンです。
銭形がクラリスと別れて、パトカーに乗って、部下の警官隊とルパンを追いかけます。余談ですが、映画ではお馴染みの銭形機動隊とも呼べる銭形の警官隊。いったいどのような法的根拠で動いているのでしょうか?まあ、それは置いておいて、ルパンを追いかけて行きます。
そのあと、丘の上のクラリスは手を振っています。これは、実はルパン達や銭形に振っているのではないのです。しっかり観てほしいのですが、銭形のパトカーに続く輸送トラックに乗っている警官隊に向かって振っています。トラックの後部から、傷だらけになりなりながら、みんな笑顔でクラリスに手を振っています。
ルパン三世は基本メインキャストのみで回る話です。しかし、このシーンは名もなきモブのキャラも、クラリスを中心とした物語にしっかり関わっているということを描いているのですね。その世界にしっかり人が生きているという表現でもあります。そのシーンに気が付くのに10年以上かかりました。
2chによって、ロリコンド左翼軍事オタクという、救いようがないレッテルを張られた宮崎さんですが、ここに監督宮崎駿の力を見ることができます。しっかりと世界観を作りあげています。なんだかんだと言われても、やはり宮崎さんは偉大です。