孤独のグルメ【シーズン1】第一話「焼き鳥」の評価・考察・紹介


孤独のグルメ焼き鳥孤独のグルメとは原作・久住昌之、作画・谷口ジローによる漫画です。グルメ漫画と言えば美味しんぼ、ミスター味っ子などが有名です。最近はあまりグルメ漫画などを読んでいませんでしたが、孤独のグルメは一味違ったテイストになっています。

輸入雑貨商を営む主人公の井之頭五郎が、ただ淡々と食事をするという物語です。物珍しい珍味や、有名な三ツ星レストランなどではなく、街の食堂やレストラン、個人経営のお店にふらりと立ち寄り、ただご飯を食べるというストーリー。井之頭五郎さんは、何の変哲のない食事をおいしそうに吟味します。

美味しんぼやミスター味っ子は、創意工夫やアイディアを出して、料理や食材を究極まで研鑽していきますが、孤独のグルメは”ただ出されたメニューを食べる”というスタイルです。私は大学時代、お金がなくて貧窮していた時代、普通にお店に入って定食を食べるというものがかなりの贅沢であった時があります。和食、洋食、中華など、お店で出される食事を食べることは、とても幸せなことなのかもしれません。

孤独のグルメとは、食事を誰かと一緒することはありません。基本的に一人で食事と料理に向き合います。グルメ評論家など必要なく、ただ自分がおいしく食べられればそれでいいのです。少し風変わりなメニューやお店の特色を感じながら”ただ食べる”ことがこの作品の作品の味です。

そんな孤独のグルメがドラマ化!井之頭五郎さん役には松重豊さんが起用されています。ドラマは原作とは関係なく、実際に営業している店を訪ねます。第一回は焼き鳥。このように何の変哲もないメニューを食べるというお話なのです。

ただ食事を食べる行為が、とてつもなく幸せなことだと主人公は考えているようです。食事に哲学を持っており、名言・迷言が出ます。「昔ながらのうまい店を探すなら、川のそばを攻める」。このような陳腐でわかりやすい単純な哲学を視聴者が楽しむという構図が特徴です。

ドラマ第一回は焼き鳥。本当にただの焼き鳥です・・・。高級な鶏を使っているわけではありません。門前仲町の小さなお店。そこで焼き鳥を食すというお話。味のあるお店で、非常にいい!こんなお店で一杯やりたいものです。しかし、井之頭五郎さんはお酒が飲めない下戸です。その分、食事を純粋に楽しむことができます。

第一話で登場したメニューではほっけスティックがいいです。ズバリただのほっけをスティック状にして焼いたもの。あと信玄袋。油揚げにオクラなどを入れて焼いたおつまみ。個人経営のお店で、こういったものを食べてみたいものです。できれば一杯つけて・・・。

ドラマの見どころとしては、そのお店の特色や味を紹介しています。常連さんがやっている、つくねを生のピーマンと一緒に食べるという方法、実に上手そうです。ピーマンの肉包み焼きというメニューがあるので、つくねと生ピーマンも全然ありだと思います。

ドラマの中で井之頭さんが語った言葉、「結婚同様、店なんか下手に持つと守るものが増えそうで人生が重たくなる。男は基本的に体一つでいたい」。周囲の目や余計なわだかまりを捨て去って、食事という単純明快な行為のみに一人で集中してもいいじゃないかという、グルメ漫画に激烈なアンチテーゼを投げかけた言葉です。これこそが孤独のグルメの作風を象徴しているのかもしれません。